”血の道症”などに使われる三大婦人薬~桂枝茯苓丸~
血のめぐりを改善し月経痛、月経不順などに効く漢方薬
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は体内で滞った血のめぐり改善することで月経痛、月経不順などの婦人病を中心に幅広く使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸は女性に多い症状に使われることから、当帰芍薬散、加味逍遥散と並べて三大婦人薬と呼ばれます。桂枝茯苓丸は、張仲景が著した古典「金匱要略」の婦人妊娠病篇にも記載されている処方です。体内で血が留滞して充血又は鬱血すると様々な不調を引き起こします。こうした状態は瘀血(おけつ)といわれ、肩こり、頭痛や「血の道症」と呼ばれる神経症状、しみやにきびなどの皮膚症状、下腹部の瘀血では婦人科的症状(月経痛、月経不順など)、更年期障害などを引き起こす場合があります。腹部の瘀血は腹診の圧痛などにより確認されます。
桂枝茯苓丸はこうした瘀血を改善することで諸症状に効果を発揮する漢方薬です。
桂枝茯苓丸の構成生薬のはたらきと婦人科系漢方の使い分け
桂枝茯苓丸は桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬の5種の生薬で構成される漢方薬です。このうち、とくに牡丹皮や桃仁が瘀血を去り、疎通させるという駆瘀血のはたらきがあります。芍薬も血の滞り調節し凝結を緩めるほか、養血作用もあるとされます。処方名にも入っている桂枝と茯苓は、桂枝は気の上衝を整え、茯苓は駆水作用を発揮します。血とともに気がめぐらないと神経症状につながる場合があります。
桂枝茯苓丸は実証の駆瘀血剤として女性だけでなく男性にも広く使用されます。その中でも、実証タイプの体型で体力があり、下腹部痛がある場合やのぼせて足が冷えるような方に向いています。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)も桂枝茯苓丸と同様な婦人科的症状に使いますが、体力は虚弱で顔色が青白く、冷え症や、めまいや耳鳴りなどの水毒症状もあるという方により向いています。
加味逍遙散錠(かみしょうようさん)は体力がやや虚弱~中等で、いら立ちやのぼせ感などの神経症状や胸脇の緊張があり、冷えはそこまで強くないような方により向いています。
漢方薬は、体質や症状の程度などに合わせて適切に使用する必要がありますので、専門の医師や薬剤師等に相談し、自分に合った漢方薬に服用することがよいでしょう。