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体力虚弱で、手足が冷えなどの症状に甘草乾姜湯

甘草乾姜湯(かんぞうかんきょうとう)は主に冷えを伴う症状に用いられる漢方処方です。「傷寒論」「金匱要略」などの古典にも登場する処方で、甘草と乾姜の2種の生薬から構成されます。

甘草乾姜湯

傷寒論では、表証と裏証があわさった傷寒の状態に、誤って桂枝湯を投与することで陰証に陥ったときは甘草乾姜湯を使用して陽に復するものとされています。使用は厥逆、咽中乾、煩躁、吐逆を目標にする、すなわち、手足が冷たくなり、のどが乾燥し、安静にできず苦しみ、しゃっくりのように吐く、といった急迫な状態に使用するものとされています。

一方で金匱要略では急迫な症状を目標としておらず、手足の冷え、薄い唾液が口に溜まる、頻尿、尿漏れ、めまい等の症状に使用するとされており、冷えを中心とした水毒症状に用いてよいことが説明されています。

甘草乾姜湯は甘草と乾姜(かんきょう)が2:1の割合で配合されています。甘草は急迫な痛みや炎症をやわらげたり、胃腸を補う作用があるといわれています。乾姜は生姜を蒸して乾燥させるなど加工したもので、胃腸を温めるはたらきがあります。シンプルな処方ですが薬味が少ない処方は急な症状に対応することができるといわれています。

甘草乾姜湯に生薬を加減することで様々な処方に応用されています。人参湯はこの甘草と乾姜に人参と白朮が加わった処方で、手足の冷えに胃腸のはたらきが低下した際に効果的です。

食品としても使われる甘草、乾姜

甘草は生薬として用いられますが、食品の添加物「カンゾウ」としても一般的なものです。カンゾウは強い甘み成分を含んでいるため、私たちが普段摂取しているお菓子類の甘味成分、醤油や味噌といった調味料などに幅広く用いられています。また乾姜も食品ではショウガ末として利用されており、手軽に摂取することができます。ショウガには辛み成分の”ジンゲロール”や“ショウガオール”が含まれ、辛みを引き出す食材として使用されています。

生の生姜に多く含まれる成分ジンゲロールは、加熱することにより一部がショウガオールに変化します。
いずれも辛味成分ですが、ジンゲロールは殺菌力や血行促進に優れ、ショウガオールは体を温めるはたらきに優れるとされます。

生の生姜は昔から料理や飲料などに使われており、食べる機会が多いと思いますが、生姜と乾姜の違いはあまり知られていません。「手足の冷え」などの悩みを抱える方の体質改善にぜひ取り入れていただきたい食材が「ショウガ末」なのです。

ショウガ粉末などを湯に溶かして飲むショウガ湯は、寒い時期に体が温まるおすすめの飲料です。

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