疲れやだるさ、食欲不振には補中益気湯
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、体力虚弱、疲労倦怠感、食欲不振などに用いられる漢方薬です。処方名にあるとおり「中を補い元気を益す」効果があります(中は胃腸などの消化器を指します)。
気は体の表裏に分布し血、水の流れをコントロールする、体を温める、病邪からから体を守る、発汗を調節するなどの様々なはたらきがあります。気は主に脾という臓でつくられ体中に張り巡らされますが、脾が弱ると気を支える力が弱くなり下へ落ちて体が重く感じたり、だるさが出るようになります(中気下陥)。
また、脾と胃は表裏の関係となり脾が弱ることは食欲不振の原因にもなります。補中益気湯は不足した気を補い、脾の働きを整えることでこうした気虚に伴う症状を改善していきます。補中益気湯はこのような働きから、臨床では内臓下垂、子宮下垂、眼科下垂などの症状にも応用されます。
補中益気湯は補気、健脾作用のある四君子湯(しくんしとう)という処方を基本に、気に関係する複数の生薬を加減して構成されています。
黄耆は気を補う。
人参、白朮、甘草の組み合わせは、気を補い健脾する。
当帰と人参の組み合わせで、補気・補血作用。気虚にともなう血虚を改善する。
大棗、生姜、甘草の組み合わせで胃を整える健胃作用。
柴胡と升麻の組み合わせで気を上に持ち上げる。
陳皮は補った気をめぐらせる理気剤。
さて、気は体内を流れる気や、体表を覆う気、などが存在します。補中益気湯に含まれる生薬の黄耆は体表の気を補うはたらきもあります。体表に存在する気が不足すると皮膚の穴が緩み発汗しやすくなるといわれています。発汗が過剰になると体に必要な津液(水)や陽気が損なわれ心身の不調をきたします。
気は防御作用もあるため、不足すると外邪の侵入を許しやすくなり感冒などになりやすくなります。補中益気湯は体表の気を補い、こうした過剰な発汗を抑えたり、感冒にかかりやすい体質を改善します。
暑気あたりといえば五苓散(ごれいさん)などの水分異常を改善する漢方薬も使われますが、気剤を多く含む補中益気湯は疲労感、倦怠感が強く食欲不振がある場合に特に適しているでしょう。
同じく補剤として使われる清暑益気湯(せいしょえっきとう)は清熱作用もあり、疲労倦怠に加えほてり、熱が体にこもるようなときに向いています。補中益気湯を夏場に服用する際は胃腸に負担がかかる冷水ではなく、白湯などで服用するとよいでしょう。
漢方薬は症状の程度や体質に合わせて適切に服用することが重要ですので、医師や薬剤師等に相談して服用することがよいでしょう。
補中益気湯の作用
補中益気湯は虚証タイプの方で、気血水のうち気が不足した「気虚」の状態の方に最適な漢方薬です。漢方でいう気とは形が無く働きだけのエネルギーというべきものです。気は体の表裏に分布し血、水の流れをコントロールする、体を温める、病邪からから体を守る、発汗を調節するなどの様々なはたらきがあります。気は主に脾という臓でつくられ体中に張り巡らされますが、脾が弱ると気を支える力が弱くなり下へ落ちて体が重く感じたり、だるさが出るようになります(中気下陥)。
また、脾と胃は表裏の関係となり脾が弱ることは食欲不振の原因にもなります。補中益気湯は不足した気を補い、脾の働きを整えることでこうした気虚に伴う症状を改善していきます。補中益気湯はこのような働きから、臨床では内臓下垂、子宮下垂、眼科下垂などの症状にも応用されます。
補中益気湯は補気、健脾作用のある四君子湯(しくんしとう)という処方を基本に、気に関係する複数の生薬を加減して構成されています。
黄耆は気を補う。
人参、白朮、甘草の組み合わせは、気を補い健脾する。
当帰と人参の組み合わせで、補気・補血作用。気虚にともなう血虚を改善する。
大棗、生姜、甘草の組み合わせで胃を整える健胃作用。
柴胡と升麻の組み合わせで気を上に持ち上げる。
陳皮は補った気をめぐらせる理気剤。
さて、気は体内を流れる気や、体表を覆う気、などが存在します。補中益気湯に含まれる生薬の黄耆は体表の気を補うはたらきもあります。体表に存在する気が不足すると皮膚の穴が緩み発汗しやすくなるといわれています。発汗が過剰になると体に必要な津液(水)や陽気が損なわれ心身の不調をきたします。
気は防御作用もあるため、不足すると外邪の侵入を許しやすくなり感冒などになりやすくなります。補中益気湯は体表の気を補い、こうした過剰な発汗を抑えたり、感冒にかかりやすい体質を改善します。
暑気あたりにも
補中益気湯はシーズンを問わず使用できる漢方薬ですが、夏場は急激な温度変化で胃腸などの臓腑が弱りやすいため暑気あたり(いわゆる夏バテ)や、ねあせにも効果的です。暑気あたりといえば五苓散(ごれいさん)などの水分異常を改善する漢方薬も使われますが、気剤を多く含む補中益気湯は疲労感、倦怠感が強く食欲不振がある場合に特に適しているでしょう。
同じく補剤として使われる清暑益気湯(せいしょえっきとう)は清熱作用もあり、疲労倦怠に加えほてり、熱が体にこもるようなときに向いています。補中益気湯を夏場に服用する際は胃腸に負担がかかる冷水ではなく、白湯などで服用するとよいでしょう。
漢方薬は症状の程度や体質に合わせて適切に服用することが重要ですので、医師や薬剤師等に相談して服用することがよいでしょう。